映画「ザ・フォーリナー / 復讐者」はジャッキーの新たな代表作になりそう
これは、ジャッキーの新たな代表作になるのでは。
そんな印象を持った、映画「ザ・フォーリナー / 復讐者」
007で有名なピアース・ブロスナンとの競演も話題ですが、それ以上に、この映画は「シリアスなジャッキー」「笑顔を封印したジャッキー」が見られる、稀有な作品になっています。
目の前で、突然、娘を爆弾テロで失った中華料理店オーナーのジャッキー。
テロの黒幕を追い詰めて復讐するため、単身で、その影に迫っていく。
ジャッキーは今は中華料理店のオーナーだが、元アメリカ特殊部隊の中国人でベトコンという、なんだかよくわからない設定。ですが、テロの実行犯や黒幕に迫っていく際のゲリラ戦やアクションは、ジャッキーならではのアクションが光ります。
娘を突然失った哀しみや途方にくれる姿は、今までにないジャッキーの演技力が発揮されてます。今回は、本人の実年齢に近い役柄で、「老いぼれ」感も非常にリアル。犯人を教えてほしくて警察署に通い、説得されて帰される際のあのヨボヨボ感は、真に迫る演技でした。
いつもの笑顔もコミカル要素も封印した今回のジャッキー。
しかしアクションは、いつも通りの鮮烈さを見せてくれます。
小道具を使ったアクションシーンを見ると、ジャッキー映画だなあ、と安心しますね。
身体を鍛えるために自動車のドアを使うシーンなどは、木人拳的なシーンでニヤリとしてしまいます。
森の中でのゲリラ戦は、「そうくるか!」と興奮!
また、市販品を武器にしてしまうのは、小気味良くて、浦沢直樹の「パイナップルARMY」を彷彿とさせますね。
映画全体のストーリーもよくできていて、テロ組織側(反イングランド派)の仲間内での裏切りやかけひきは、サスペンス要素も含んでいて、実に見ごたえがあります。まさか、北アイルランド副首相(ピアース・ブロスナン)の**が裏切ってたとは!
しかし、映画の中での、女子供も巻き添えにするテロによる爆発は、卑劣で、見ていて嫌な気分になります。
(それぐらいリアルだ、ということ)
北アイルランドとイングランドが舞台ということで、当然ながら、「血の日曜日事件」のことも前提にあります。映画の中でも、壁画の文字で少し出てきます。IRAとか北アイルランド紛争などを知っておくと、ストーリーをより理解できるんじゃないかと思います。
映画の最後では、身近なところ(中華料理店)に待っている人がいて、帰れる場所があり、安堵の抱擁。
シリアスな演技のジャッキーを満喫できるこの映画、ジャッキーにとっての新たな代表作になるんじゃないかと思います。
しかし、エンドロールでの主題歌が、ジャッキー歌唱の中国語歌で、ズッコケますけどね(笑)
そこでやっと「ああ、この映画は、やっぱりジャッキーが主役なんだな」と分かりました。